労基は突然やってくる!現場で起きていた事件とは?! (第一弾)

ある日突然やってくる労働基準監督署。全く問題ないと思っていた人事部の認識とは裏腹に、現場で行われていた勤怠不正の実態とは?実際に人事部から聞いた現場の実態に迫る。

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現場で起きた事件の数々

本社人事部の認識と異なり、現場では本来の就業規則や労働基準法の諸規定のギリギリをつく「グレーゾーン」の勤務や明らかに「レッドカード」となる勤務が強いられていた。人手不足の過酷な現場で、どんな事件が起きていたのか。

ケース1. 人手不足でも店舗は回る?本部も見抜けなかった店舗の実態とは?

飲食店にとって人件費は悩みの種である。人件費、食材仕入費は店舗のコストの2/3を占め、人件費によって店舗の利益・成績が大きく変わるので、サービス品質を下げない程度にできるだけ削りたいのが現場の本音である。しかし、そんな店舗の人件費を逆手に取る店長もいるのだから驚きである。

A店舗では非常によく働くパートのHさんが働いていた。働き過ぎるため、毎年、給与額が103万円の壁を超えないように強く意識しており、年末が近くなるにつれて、シフトを調整するなど、給与額をコントロールする働き方が続いた。

しかし、店員の退職が増え、新規採用もうまくいかず、人出不足となって、店舗業務を正常に維持できなくなってきていた。そのとき、店長がとった手段は、なんとこのHさんにもっと働いてもらうことだった。具体的には、Hさんとは別のXさんという架空人物を採用したことにして、Xさんがシフトに入って働いていることにした。

こうすることで、実際はHさんが2人分のシフトを働いているのだが、本部には2人で働いているように見せて、給与は2人の労働時間分をHさんに払っていた。

架空の従業員のために架空の履歴書まで作って、従業員としてシステムに登録したので、これは大問題であるが、実際に働いている人がいる分、後に比べて、まだ、この時点ではマシであった。

そのうち、店長はこの技をさらに悪用するようになった。具体的にはYさん、Zさんという架空人物を作り、シフトを組み、実際は 誰も働いていないのだが、店長が、自分を含めて3人分の打刻を行い、3人分の給与を全て店長が独り占めしていた。実際には従業員が不足しているので、当然、店舗のサービスレベルは落ちているのだが、本部から見ると必要な従業員が確保され、店舗業務が正常に運用されているように見えていた。

だが、このような不正が長く続くわけはなく、突然訪問してきた労働基準監督署の調査により、写真のない履歴書とその勤務実態から、店長の嘘が判明し、店長は御用となった。

【解決策】

必要な書類が全て揃っていないと、現場で雇用契約の登録ができないようにした。また、登録された従業員の雇用契約は、最終的に本部の承認が必要となるようにした。

現場での登録時には、従業員の本人確認のため、「生体認証情報」の登録を行うことで、本人を特定できる仕組みを作り、架空従業員が登録できないように、チェックを強化した。システムでの機能強化とともに、本部側でも書類確認などのチェックを強化した。

ケース2.人事部が見つけてしまった驚くべき実態。現場でまかり通っていた労基違反にならない工夫!

労働基準法には、特に外国籍労働者や未成年者など、一般の従業員と待遇が異なる者にはそれぞれルールが定められている。未成年者であれば残業・深夜労働禁止、留学生であれば週28時間以上の労働は禁止されている。人手不足のこのご時世では、年齢や国籍を問わず、社員を採用しなければならなくなっている。未成年者や外国籍労働者も多くの店舗で働いている。

毎月、人事部では勤怠の締めのタイミングなどに、未成年者で深夜・残業勤務者はいないか、留学生が働きすぎていないか、必ずチェックしている。仮に未成年者を残業させたり、深夜に働かせてしまった場合、その実態を知った親御様よりクレームが入り、人事部が家まで謝罪に行ったり、労働基準監督署から強く指導が行われたりする、非常に神経を遣う問題となる。

そのため、人事部は店長に、従業員がシフトを早めに切り上げられるようにすること、毎日、従業員の労働時間をチェックすること、などの指導を行っている。一昔前では、従業員を時間ギリギリまで働かせていたが、今ではやそういう働かせ方は通用しない。

ある飲食会社の人事部では、未成年者・留学生の従業員の残業を毎月ゼロになっていることを確認していた。人手不足の時代に繁忙期でも通常時でも残業ゼロなのは各店長の優秀なスキルのためだろうと人事部は思っていた。人事部では、残業が1回でも発生しただけで法令違反になるので、注意深く毎月チェックをしていた。しかしある時、人事のBさんは気づいた。

いくら店長が優秀とはいえ、何年も全店で残業が発生しないのはおかしいのではないか、と。おそるおそる訂正履歴を見てみると、案の定、未成年者は全員綺麗に深夜・残業時間がゼロになるように勤怠訂正が行われていたのである。留学生も、それと同様に、労働時間が週28時間以内に収まるように修正されていた。

まるで毎月、それらの数字をゼロにする訂正が勤怠締めの作業であるかのように、全店の店長が訂正を繰り返していた。流石に放置できず、人事部から全店長へ指導を強く行ったのは言うまでもない。しかし、このようなことが上場会社で当たり前に行われていたのである。

【解決策】

シフトより長い労働時間が発生している場合に、シフト時間より短い時間に勤怠が修正できないようにシステム制御を行った。また、訂正された勤怠データは、スーパーバイザーや本部の上職者が承認しないと、給与計算に利用できないようにしたため、不正な訂正を行っても、店長以外の者が気づけるようにした。

さらに、未成年者は、深夜・残業勤務ができないようにシフト組みや出勤打刻ができないように制限した。留学生については、週の総労働時間28時間の内、その週に働ける時間が残り10時間以下になると、店長と本人に「あと8時間働けます」というような労働時間のカウントダウンアラームを表示し、総労働時間を意識させることにした。本部でも毎月のチェック機能を強化し、不正な修正が見逃されないようにした。

ケース3.仮眠時間は休憩時間?現場で横行していた泊り勤務の実情とは?

現場の労働は過酷である。店長は早朝から仕込みを行い、繁忙時間のランチタイムの作業を切り盛りして午後に店内で仮眠後に夜また勤務・・という勤務の実態があるのは否めない。近頃、人手不足で、新規採用もできないので、ますます店長の負担が重くなっているのは間違いない。

働き方改革などと長時間労働や勤務間インターバルを改善する動きはあるが、現実問題としてはそんな簡単に法律だけで現場の働き方を変えることはできないのが実情である。飲食業だけでなく、小売業・ビル管理・製造業・・・とどの業種も共通の問題である。

ビル管理会社であるA社では、管理している建物に夜間は宿直勤務として人を仮眠して待機させていたので、仮眠時間は働いていない時間、つまり休憩時間と判断し給与を与えず、泊り手当を別途支給していた。そして仮眠時間中に勤務が発生した場合のみ、深夜及び時間外時間の手当を支給としていたが、従業員より仮眠時間全部に対して時間外及び深夜時間の手当支払いの訴えがあった。

判決の結果、労働時間とは労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、実作業に従事していない仮眠時間が労基法上の労働時間に該当するか否かは、労働者が不活動仮眠時間において使用者の指揮命令下に置かれていたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものとされた。つまり、仮眠時間は労働時間と判断され、企業に対し支払い命令が下った

労働時間とは一般的に何をしている時間を指すのかというと、純粋に業務に働いている時間だけではない。何もせずにいるだけでも、拘束時間とみなされ労働時間とされる。例えば、監視業務、点検業務などその現場に待機し、何かを待っている待機時間も労働時間である。

そして宿直勤務などで仮眠している時間であっても、何かあれば起きて作業をする場合は拘束時間とみなされたのである。この事例は有名ではあるが、未だに仮眠時間は休憩時間だと考えている企業は多いので、十分知らしめる必要がある。

【解決策】

勤怠管理システムで、仮眠時間のような長時間の休憩は登録できないようにし、仮眠時間という勤務として登録し、労働時間に計上するようにした。また、夜間の残業時間は発生時に個別に申請・承認する仕組みを作り、仮眠時間とは別に手当が計上されるようにした。勤怠管理システムの本部用の機能では、現場の実態と勤怠データに乖離がないかチェックできるように管理機能を強化した。

ケース4.システムで時間通りに正しく打刻してるのに違法?労基が考える勤怠の実態とは?

昔、勤怠は紙のタイムカードをガチャンと押すことで勤務時間を確定させていた。不正に厳しい会社だと他の人のタイムカードには指一本触れてはいけないとか、様々なルールのもとでタイムカードをガチャンと打刻するのは昭和のサラリーマンの常識であった。

しかし21世紀の現在、労務に関する規制はどんどん厳しく細かくなり、もはやタイムカードを打刻するだけでは違法と言われることもある時間通りに打刻しているのに何が違法なのか。今回はそんな問題である。

飲食店Cは有名な一部上場企業のチェーン店舗である。勤怠・会計・POS、全てシステム化し、当然、労働基準法に関するチェックや勤怠チェック、正しい勤怠打刻を行うシステムも導入されている。従業員は全員システム通りに正しく打刻をしているのに労働基準監督署から店舗・本部へ指導が入ってしまった。いったいシステム時刻通りの打刻の何が問題だったのか。

飲食店Cではユニフォームを着替えた後、勤務を開始する前に打刻をしていた。また、休憩所と呼ばれる着替える場所と、実際の勤務場所は離れており、そこまで7分歩かないと打刻ができなかった。この更衣時間・移動時間分の勤務が拘束時間とみなされ、従業員への労働時間としての給与の支給がされていないと指導が入ったのである。システムがどんなに正しくても、準備時間・移動時間も含めた拘束時間は労働時間であり、着替える前に打刻をしないと正しい勤務開始とはみなされなかった。

また、本部に対しても強く指導が入った。本部はユニフォームへの着替え・移動などはない。出社してパソコンの電源をオンにすればすぐに勤務開始となる就業場所である。ここで起きていたのは、システムへの打刻と実際の勤務時間の乖離である。勤怠システム上の時間だけでなく、各従業員のパソコンの電源ON・OFF時間をパソコン内のイベントビューアよりチェックされ、勤怠システムの時間との乖離時間分の勤怠について強く指導を受けたPCの起動時間=労働時間と判断されたのである。

このように最近では出退勤時間を正確に打刻することだけが正しい勤怠管理方法ではなく、拘束時間を含めて補正した結果を記録することが正しい勤怠管理方法である、と労働基準監督署は考えている。その為、シフト時間を前倒ししたり、システム警告を追加したり、PC起動時間と勤怠システム時間との差をチェックするソフトなどが販売されるようになっている。時代と共に変わる労働時間の解釈は変わってゆくので、企業では時代に合った労働時間のチェックや給与支払いのために、システムをバージョンアップし続けねばならない。

【解決策】

シフトで設定した時間とは別に、勤怠の前後15分の時間を勤怠準備時間として自動計算できる仕組みを導入した。この準備時間はSCやビルの形状に応じて、5分~15分の間で変更できるようにした。また、PCの電源ON・OFF時間のログを資産管理ソフトで吸い上げ、勤怠システムの出退勤野時刻と大きな乖離がないかをチェックするようにした。

勤務をしていなくても、オフィスや店舗でPCに電源を入れているだけで働いている=拘束時間と判断されるため、会社に必要以上に早く出勤しないこと、必要以上に遅くまで残らないこと、など、人事部門より業務通達し、これまでの働き方を変える取り組みも行った。

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このノウハウこそがガルフネットの勤怠管理システムの強みです。今やブラック企業は社会問題となり、コンプライアンス遵守が当たり前の世の中です。御社も、勤怠管理システムを見直し、現場の業務改革に取り組んでみませんか。

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