小売業の外国人スタッフ雇用は、勤怠システムの仕組みで法令違反リスクを回避!

外国人スタッフも多くみられる小売業。ですが、雇用に関係する在留資格期限や資格外活動許可などの管理が十分でないと刑事罰に至ってしまうケースも。そんな法令違反リスクを避けられる勤怠システムの仕組みをご紹介します。

【INDEX】

増えている外国人労働者。3番目に多いのが卸売業・小売業

日本では少子高齢化が進み、15〜64歳の生産年齢人口は減少傾向にあります。その影響で国内の様々な産業で人手不足が生じており、それを補うために外国人労働者の数が増えています。また、日本政府が外国人を採用できる制度を拡大していることもあり、今度も外国人労働者の数は増加していくと思われます。

厚生労働省の「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和4年10月末現在)」をもとに、日本企業の外国人労働者の受け入れ状況を見てみると、在留資格のうち、取得者数が多い種類は次のようになっています。

表:在留資格の種類とその取得数

このうち、身分に基づく在留資格は永住者や日本人の配偶者などが該当し、就労制限がありません。ですが、それ以外の場合は就労制限があり、どんな仕事でも就ける訳ではなかったり、就労できる期間や時間が決められていたり、雇用上の管理が必要な点があります。

また、外国人労働者数の産業別の割合を見てみると、「製造業」が 26.6%、「サービス業(他に分類されないもの)」が 16.2%、「卸売業、小売業」が 13.1%となっています。

グラフ:産業別外国人労働者の割合

グラフを見ていただくと分かりますが、卸売業、小売業は外国人労働者が多い産業の3番目です。インバウンド需要の高まりもあり、接客・販売スタッフとして外国人を積極的に採用している企業もあると思いますが、小売業に見られる慢性的な人手不足も、外国人労働者が多い要因のひとつと考えられます。

外国人労働者の雇用において起こりがちな問題

外国人労働者を雇用する場合は、就労に制限があったり、雇用手続きの方法が違っていたり、日本人の雇用とは異なる点があります。一方で、労働関連法令や働き方改革関連法は、外国人であっても日本人と同様に適用されます。そのため雇用する企業は、外国人労働者に関する正しい知識やノウハウを持っていないとトラブルや法令違反にもつながりかねません。以下に挙げる項目は、外国人労働者の雇用においてよく起こりがちな問題です。

外国人労働者イメージ

オーバーステイ

外国人が日本に在留するには、入管法上の法的な資格である「在留資格」が必要です。この在留資格には期限があり、これを過ぎるとオーバーステイとなり出入国管理局による摘発を受けます。外国人労働者の雇用において、このオーバーステイは最も問題になりやすい事柄で、オーバーステイの外国人本人が処罰されるだけでなく、雇用している企業も不法就労助長罪に問われることになります。この場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

時間外労働

時間外労働もオーバーステイと同様、問題になりやすい事柄です。日本人、外国人を問わず、残業が発生した場合は残業代を支払うのが労働基準法で定められたルールですので、サービス残業としての処理は禁物です。トラブルを未然に防ぐためにも、勤務時間についてきちんと理解してもらえるよう説明し、雇用契約書にも明記した上で契約をしましょう。

なお、「留学」や「家族滞在」は就労ができない在留資格に該当しますが、資格外活動の許可を得ている外国人に限っては、就労が可能です。ですがこの場合、週に28時間以下という条件があるため、その時間を超えての就労はできません。このルールに違反した場合も、外国人本人と雇用している企業、どちらも処罰の対象になります。

認められた範囲外の就労

先述したように、外国人は在留資格の種類によって就労できるもの/できないものがあります。また、就労が認められている在留資格であっても、その資格で許された活動しかすることができません。通称「就労ビザ」と呼ばれる、日本で働くことを目的とした在留資格であっても、認可・認定を受けた業務・職種でないと雇用できないということです。もし資格で許された活動から外れた仕事をさせた場合、雇用している企業は不法就労助長罪に問われます。  

最低賃金

外国人を雇用する場合でも、労働条件や給料水準は日本人と同様に適用されます。当然、最低賃金も例外ではありません。最低賃金は各都道府県によって定められていますので、パート、アルバイト、臨時、嘱託などの雇用形態に関わらず、雇用する企業は、その金額以上の賃金を支払う必要があります。支払わない場合は違法となり罰則も定められています。

法令違反のリスクを回避するための対策とは

外国人の雇用において起こりがちな問題と、それによる法令違反リスクを回避するために、企業側はどんな対策をすれば良いのでしょうか。まず一つは、外国人雇用に関連する法令・制度について正しい知識を持ち、管理にまつわるノウハウを蓄積する必要があるでしょう。また、雇用手続きの方法も正しく理解しておく必要があります。

採用面接時に必要なチェック

外国人労働者の採用を検討する際は、面接時に在留カードの提示を求めましょう。在留カードの確認を怠り不法就労させた場合は、企業も処罰の対象になります。在留カードに記載の内容のうち、特にチェックが必要となるのが以下の項目です。

在留カードのチェック項目例

在留資格

この項目には、「技術・人文知識・国際業務」や「技能」、「留学」などといった、その人に付与されている在留資格が記載されます。在留資格には、就労できる在留資格と就労できない在留資格があり、「就労制限の有無」の項目にその記載があります。「就労不可」「在留資格に基づく就労活動のみ可」「指定書により指定された就労活動のみ可」などの記載があるので必ず確認してください。

在留期間(満了日)

この項目には在留期間とその満了日が記載されています。すでに満了日を過ぎており、更新手続き中でもない場合は不法滞在にあたります。雇用したい人の在留期間が満了日に迫っている場合は、早急に在留期間の更新手続きを出入国管理局に申請してもらう必要があるでしょう。

有効期限

在留カードには有効期限がありますが、表面と裏面でその内容が異なる場合があります。表面に記載のある在留期間の満了日までに在留資格変更許可申請または、在留期間更新許可申請をした場合には、その旨が在留カードの裏面に記載されます。そして当該申請に対する処分がなされない限り、表面の在留期間の満了日から2ヶ月を経過する日まで有効となります。

資格外活動許可欄

資格外活動許可欄は在留カードの裏面にあります。日本に在留する外国人は原則として、その資格で許された活動しかすることができませんが、資格外活動許可を受けている場合は、その限りではありません。例えば、留学や家族滞在は非就労資格にあたりますが、資格外活動の許可を得ていれば、一定時間は働くことが許されます。そのため、資格外活動許可欄に「許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」という記載がある場合は、アルバイトとしての採用が可能です。

なお、出入国在留管理庁のWebサイト「在留カード等番号失効情報照会」では、在留カード番号などの必要事項を入力すると、入力されたカード番号が失効していないかを確認することができます。また、在留カードが偽造されていないかについて確認できるアプリケーションも無料配布されていますので、不安な場合はそれらを活用すると良いでしょう。

▼在留カード等番号失効情報照会

https://lapse-immi.moj.go.jp/ZEC/appl/e0/ZEC2/pages/FZECST011.aspx

▼在留カード等読取アプリケーション

https://www.moj.go.jp/isa/policies/policies/rcc-support.html

採用後に必要なチェック   

採用が決まり業務に就いてもらった後も、企業側では以下のようなことを注意しなければなりません。チェックを怠り、その人の就労条件の範囲を超えてしまうと、たとえ故意でなくとも法令違反とみなされてしまいます。

在留資格、資格外活動許可の期限切れ

在留資格には、それぞれ在留期限が設けられていますので、それを超えて雇用を続けることはできません。先述した通り不法就労助長罪に問われ、処罰の対象となります。なお、資格外活動許可の有効期間は在留期限の満了日までですが、在留資格を更新しても、資格外活動許可まで同時に更新される訳ではありせん。もしアルバイト雇用を継続する場合は、資格外活動許可を再度申請する必要があります。

就労時間のオーバー

留学や家族滞在の在留資格の方が、資格外活動許可を受けているケースは多くあると思いますが、この場合、就労時間は週に28時間以内と決まっています。(留学生の学則による長期休暇の場合は1日8時間、週40時間まで)これをオーバーしてしまうと不法就労助長罪に問われることになります。

ハローワークへの届出

外国人労働者の雇用および離職の際、企業にはハローワークへ雇用状況の届出を行う義務があるので、忘れずに対処してください。なお、雇用する外国人が雇用保険の被保険者となる方か、ならない方かによって提出書類の様式、届出先となるハローワーク、届出の提出期限が異なります。

システムを利用して外国人スタッフの管理業務の負担を軽減

不法就労助長罪のリスクを回避するためには、採用時も採用後も対策を講じる必要があります。店長など現場の責任者は、アルバイト留学生の就労時間が週28時間以下となるようシフト調整をしたり、累積時間を日々確認したり、勤務実績を管理しなければならないでしょう。また在留資格期限にも常に気を配り続けなければなりません。ですが実際には、日々の店舗業務と並行して外国人スタッフの勤務実態をチェックし、適正に管理し続けるのは至難の業です。

そこで検討したいのが勤怠システムの仕組みです。あらかじめ法令違反につながり得る項目がシステムに組み込まれていれば、人間がチェックするよりも遥かに正確に効率よくチェックと対策が可能です。具体的には、在留資格期限の2ヶ月前になると、本人の出退勤の打刻時に直接アラート表示がされる、就労時間が週28時間を超過しそうな留学生にも同様にアラートが表示される、エラーとして打刻ができないようになるといった内容です。

こういったシステム管理を導入すれば、店長にかかる業務負担も企業が罰則を受ける可能性も格段に低減できます。

管理機能を備えた勤怠システムの導入事例

ここからは事例として、外国人労働者を多く雇い入れているA社のご紹介をします。A社では、資格期限の管理は現場の店長と人事部で行なっていましたが、日々の業務の中で在留資格期限のチェックまで気が回らず、危うく期限を過ぎそうになることが何度か起きていました。

そこで導入いただいたのが、外国人労働者の管理機能を持ったガルフCSMの勤怠管理システムです。このケースでは、外国人スタッフを採用する際に在留資格期限を登録し、期限管理をシステムで行うようにしました。この勤怠管理システムには様々なアラート機能が備わっており、以下のチェック・アラート機能が採用されました。

具体的な施策

在留資格期限の2ヶ月前

  • 打刻時に本人に直接アラート
  • 店長、管轄エリアマネージャー、本部にそれぞれアラート

アラートで更新がされなかった場合

  • 店長:エラーとして、シフト登録できないようにする
  • 本人:エラーとして、打刻できないようにする

このように、店長だけでなく、本人や管理者にアラートを出すことで多方面からチェックを行えるようにしただけでなく、期限切れの外国人スタッフは、シフト登録ができない、出勤ができない、とすることで厳重にチェックを行いました。

導入の効果

勤怠管理システムが本人に直接アラートを出すため、店長や管理者が都度チェックを行う必要が無くなり、それぞれ、本来の業務に集中できるようになりました。また、何重ものチェックをシステムが行っているため、気づかぬ間に期限が切れていたということもなくなりました。

ガルフCMS勤怠管理は小売業の企業様に高評価

ガルフネットが提供する勤怠管理システムには、外国人労働者の雇用に関するリスクを未然に防ぎ、雇用を支援する仕組みが多数あり、導入いただいた小売業のお客様から高い評価をいただいています。以下がその主な機能です。

ガルフCMS:外国人雇用に関連する管理機能

採用時チェック機能

採用時、雇用手続きに必要な書類や在留資格に合わせた必要情報をシステムがチェックすることで、トラブルにつながる要素の見逃しがないか現場責任者に注意を促します。また本部で一括チェックができるようになります。

アラート機能

資格外活動の許可を得た留学生の場合は、週28時間の労働時間超過のアラートを出す、在留期限が迫ってきた対象者に事前アラートを出すなど、現場責任者が意識しなくてもアラートによって事前に気付かせる仕組みがあります。さらに、外国人労働者本人にも直接事前にアラートを出し、注意を促す仕組みがあります。

複数言語対応機能

日本語があまり得意でない外国人でもいち早くシステムを扱えるよう、複数言語表記に対応しています。クリックひとつで英語と日本語に表示切り替えが可能です。

ガルフCSMに興味を持たれた方、システムの導入・運用に関してご質問、ご相談がある方はどうぞお気軽にお問い合わせください。詳しい情報は製品ページおよびダウンロード資料でもご覧いただけます。

外国人労働者の雇用支援、リスク管理機能を備えた勤怠システムについて詳しく知りたい方はこちら!

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