飲食業界のこれからの新常識! 売上予測にAIを活用して食品ロス対策を

食材のロスと費用のムダを抑えたい...そんな飲食系企業に注目いただきたいのがAIを活用した売上予測です!

SDGsという言葉を耳にする機会が増え、持続可能な世界を実現するための国際的な取り組みが年々活発化しています。当然、企業にも積極的な協力が求められており、対策に乗り出す企業も増えています。そんな中、注目されているのがAIを活用した需要予測です。特に飲食業界では、AIによって精度の高い売上予測を行うことで廃棄や返品を減らし、食品ロスを低減しようという動きが見られます。

飲食業界が抱える食品ロス問題の現状 

食事の提供を行う飲食業界において、食品ロスは無視できない問題です。日本では、年間に約522万トンの食品ロスが発生しており、その量は国連WFP(世界食糧計画)による食糧支援料(約420万トン)の約1.2倍です。

また、そのうちの約53%にあたる275万トンは事業系の食品ロスで、内訳を見てみると飲食業界(外食産業)は約29%と、食品製造業の約44%に次いで多い割合となっています。

グラフ:事業系食品ロス(可食部)の業種別内訳

SDGsへの意識の高まりから、食品ロスが社会問題に    

SDGsに掲げられた17項目の目標のうち、食品ロスの問題に関わりが深いのは、目標12の「つくる責任 つかう責任」です。この項目において食品ロス削減の目標は、2030年までに2000年と比べて半分の量に減らすこととなっており、食品ロスを多く生み出している外食産業の企業にとって、削減への取り組みは避けて通れない課題と言えます。また消費者のSDGsへの意識も高くなっており、企業が食品ロス対策を行うことは社会的な義務と捉えられつつあります。そのため、取り組みに消極的な姿勢の企業は、その評価を下げることにもつながりかねません。

イメージ:SDGs17の目標

飲食業界における食品ロス発生の要因 

飲食業界における食品ロスの発生にはいくつもの要因があります。食品ロスの多さは、SDGsへの貢献だけでなく、企業の利益率に大きく関わる問題でもあるので、それぞれの要因に対して、次のような対策をしている店舗も多いのではないでしょうか。

過剰提供

飲食店からお客様に提供する一皿の量が多すぎるケース。食べ切れるよう、一皿の量を見直す、小盛りサービスを提供するなどして対策。

食べ残し

お客様がオーダーした量が食べ切れる量を上回っているケース。食べ切りを啓蒙する、持ち帰り用のドギーバッグを採用するなどして対策。

調理過程で出る残渣

調理の過程で野菜の皮や種、肉や魚の骨や内臓、揚げ物に使った廃食油といった残りカスが出るケース。飼料化や肥料化、バイオガス生成などの原料として再利用することで対策。

食材の賞味・消費期限切れ

賞味期限の1/3を超えた食材は返品・廃棄するといった商習慣に起因するケース。これまでの商習慣の見直しや、発注・在庫管理方法の見直しなどにより対策。

仕込み量のミス

来店客数、注文数のヨミがはずれ、事前に仕込んだ食材が余るケース。人間の勘や経験に頼った予測ではなく、過去の実績データ、AIによる予測技術を活用し、予測精度を上げることで対策。

食材の発注・在庫管理不足

正確な在庫量の把握、適切な量の発注ができていないケース。精度の高いAI予測と発注・在庫管理システムの連携などで数字を可視化し、人的ミスを防ぐことで対策。

小盛りサービスの提供や食べ切りの啓蒙など、比較的容易に始められる対策がある一方で、賞味・消費期限切れの食材の管理、適正量の仕込み、発注量と在庫量の適正化など、人間の経験や能力に頼るだけでは難しい対策もあります。これらの場合は、システムによるデジタル管理やAI技術といったテクノロジーの活用が有効になり、導入にはコストもかかります。

そのため、導入検討は慎重に行うべきではありますが、店長や従業員が予測や把握・管理の作業に費やす時間が削減され、正確さも向上することを考慮すると、人材不足が続く飲食業界での効果は期待が持てるものなのではないでしょうか。

食品ロス対策として注目される、AIによる売上予測

 効果が期待されるテクノロジー活用の中でも、今もっとも注目を集めているのはAI予測です。コロナ禍により生活様式が一変したことで過去の実績データが意味をなさず、AI予測と実態に大きな乖離がある…AI予測なんか使い物にならない…という声が聞かれる時期もありましたが、ようやく状況が落ち着き、日常が戻ってきた今、再びAI予測が可能となり精度も高まってきました。

イメージ:AI予測

飲食店によっては、店長がこれまでの売上データを見ながら、長年の経験と勘を頼りに売上予測をしているという店舗もあるかも知れませんが、その場合、「予測が大きく外れる」「精度のバラつきが激しい」「店長の異動があると後任者とのズレがある」といった声がよく聞かれます。これらは人力で予測する以上、なかなか解決し難い問題です。

売上の予測と実態でブレ幅が大きいと、当然、発注や在庫のヨミにもズレが生じます。すると、予測に反してオーダー数が伸びない→ 発注した食材が消費しきれない→ 在庫が増え続ける→ 一部が消費期限切れになる→ 仕方なく廃棄処分する→ 廃棄コストがかさむ→ 食品ロスを生み出すといった悪循環に陥ります。

ですがAIによる売上予測なら、最新の実績データ、天気やイベントの情報など、さまざまな要素を加味し、統計モデルや機械学習アルゴリズムを用いて、人間よりも精度の高い予測が可能です。いつどのくらいの来店客数、売上金額があるかを予測し、その予測をもとに食材を発注するのにふさわしいタイミングと量を算出するので、在庫に必要以上のムダが生じず、食品ロス削減に大きく貢献することになります。

AIを活用した売上予測とは?その特徴や店舗へのメリットは? 

売上予測は人力に頼るより、AIに頼った方が良さそうだ…というイメージはできたかと思うので、ここからはAIによる売上予測についてより詳しく、その特徴やAIならではのメリットを解説していきます。

AI売上予測の特徴は?何ができるのか? 

AIによる売上予測では、膨大な量の過去データを学習・分析し、未来の販売数や必要数を予測します。例えば、4月1週目のお花見シーズン。土日のランチタイムの来店客数は、土日の平均来店客数よりも少ない◯名の見込み。売上金額も土日の平均金額より○円少ない…といった具合です。この時、過去の売上実績のデータはもちろん、天気や気温、曜日や時間、季節の行事、地域のイベント、店舗で実施しているキャンペーンや広告といった情報まで加味し、業態に合った予測モデル、アルゴリズムを活用して予測を行うため、人間が行うよりも早く精度が高い推測値を出せるのがAI売上予測の特徴です。さらに、データを蓄積・学習すればするほど精度が上がっていくのも、人間の予測には真似できない特徴と言えます。また、算出した推測値を元に、商品、売上、勤怠、会計など、より幅広い領域のマネジメントに活かすこともでき、企業全体での生産性向上に寄与します。

図版:AI予測のアルゴリズム

商品管理における活用

いつどのくらいの来店客数があり、どの食材がどのくらい必要なのか。今ある在庫量に基づいて適正な発注量を算出することで、食品ロスの低減、廃棄コストの低減を実現します。

勤怠管理における活用

どの曜日のどの時間帯に来店客数が多いのか、店舗の繁忙状況に応じた人員配置を計画することで、従業員への負担集中を避けた適正なシフト作成を実現します。

予算管理における活用

予測される売上金額は目標数値に対してプラスかマイナスか、人件費や仕入原価費は適正か把握することで売上向上対策や予算配分を検討し、経営の健全化を実現します。

AI予測ならではのメリットは?人間の予測と何が違うのか? 

人力で行う売上予測の場合、作業担当者にかかる負担とヒューマンエラーの発生は避けられない問題です。もちろん、時間をかけて丁寧に行えば全く不可能ではないものの、誰もがすすんでやりたいと思う作業でないことは確かでしょう。ここでは、AIに予測作業を任せることで得られるメリットについて解説します。

ブレ幅による影響が少ない

AIとはいえ万能ではなく、予測結果には不確実性が伴います。しかし、膨大な量のデータ分析、複雑なパターン認識が可能なため、人間が行う予測に比べれば、そのブレ幅はさほど大きくありません。そのため、売上予測をもとに行う必要がある商品管理、予算管理、店舗運営への影響も少なく抑えられます。

作業時間が短縮できる

AIが行うデータ処理は、人間とは桁はずれに高速です。人間なら何時間もかかるようなデータ処理もAIならほんの数秒で終えてしまうでしょう。AIにより売上予測にかかる時間が短縮できれば、人間は新商品の開発や従業員の教育など、他の必要な作業に時間を割くことが可能になります。

誰が作業しても変わらない

AIによる予測は、取り入れたデータが全てで、他の要素は介入しません。つまり人間のように、その人の感覚や主観が予測結果に影響することはありません。そのため、店長経験が長くても短くても、異動で初めて赴任した店舗であっても、予測作業を行う人によって結果に差が出るということはありません。

戦略立案、改善に活かせる

AI予測では、数値という形で結果が表されますが、膨大なデータの分析により売上の傾向やパターンを読み取ることも可能です。そして、それらを考慮した上で、曜日限定のキャンペーンをする、選べるデザートの種類を増やすなど、販促戦略やメニュー改善などの施策に活かすこともできます。

AI売上予測は、飲食業界が抱えるさまざまな問題の解決にも有効   

ここまでの解説でお分かりの通り、AI売上予測が効果を発揮するのは、食品ロス削減に限ったことではありません。食品ロスが削減されるということは、必要以上の食材の仕入れや廃棄にムダなコストをかけなくて済むということであり、企業の利益率アップ、さらには社会的評価のアップにもつながっていきます。

また、活用の仕方次第では、飲食業界の慢性的な人材不足の中でいかに適切な人材配置を行い、業務効率を上げるか。それを実現することで負担の多い労働環境を改善し、どれだけ離職率を下げるか、という部分にも関係してきます。

イメージ:AI売上予測がもたらす問題解決

加えて、店舗の営業時間外でも、店舗運営に関わる人・物・金のマネジメントに忙しい店長の業務負担を軽減し、より生産性の高い業務や、緊急性は高くないものの重要性は高い、未来の結果を左右するような業務にしっかり時間を取ることにも寄与します。

このように、食品ロス対策以外にも人材不足、労働環境、離職率など、飲食業界によく見られる問題の改善にもAI予測が貢献できることは、ぜひ心に留めておいていただきたい事実です。

ガルフネットが提供するAI予測型業務システムは飲食業界に強い!  

ガルフネットでは、予算、売上、商品、在庫、受発注、勤怠など多岐に渡る業務システムを提供していますが、その顧客の大半を占めるのは、飲食、流通小売、サービス業の企業です。中でも、多くの店舗数を持つチェーンストア企業への導入実績が多数あります。

イメージ:AI予測型業務システムを利用する飲食店

AI技術を用いた予測型業務システムにも、当然その経験とノウハウが活かされおり、過去の実績データが揃っていれば、あとは飲食業界向けの予測モデルを選択していただくだけで、精度の高い売上金額、来店客数の予測が可能です。

AIを活用した売上予測の改善事例をご紹介 

実際に、ガルフネットが提供するAI予測型の業務システムを利用して、売上予測精度を約85%に上げた、懐石・居酒屋業態の飲食チェーン店様の事例をご紹介します。

店舗の特徴と予測上の課題

  • 懐石・居酒屋という業態上の特性から、売上や客数の予測が難しい。
  • 宴会予約の客数によって、一般客と合わせた1日の売上・客数の変動が大きい。
  • 昼のランチ売上と夜のディナー売上で、客単価の差が大きい。
  • 急な天気の変化、近隣の花火大会の開催などにより、売上・客数の予測と実態が大きく異なる。

ガルフネットが行った具体的な施策

  1. まずは過去の売上実績を検証し、予測エンジンから全体の売上金額・客数予測、一般客の売上、客数の予測を分けることとしました。
  2. 続いてランチの客単価、ディナーの客単価を求め、時間帯の客数構成比に合わせた予測客数に、対象の客単価を掛けて売上金額を求めるようにしました。
  3. 日別の売上予測を立てる際、すでに申込がある予約客の客数、宴会金額をベースとし、そこに予測エンジンで求めた一般客の売上・客数を加えて1日の合計売上金額・来客数を求めるようにしました。

得られた効果

売上金額に対して85%以上の予測精度を出せるようになり、食材の仕入れや事前の仕込みで生じるロスの軽減につながっています。また来店客数の予測に応じて、必要な人数のスタッフ配置ができるため、スムーズかつムダのない店舗運営にもつながっています。

なお、ガルフネットのAI売上予測型業務システムは、飲食業界の業務内容に照らし合わせ、より便利で使いやすいように、より効率化を図れるように機能開発がされており、売上だけに留まらない総合的な店舗マネジメントに活用できます。食品ロス削減をはじめ、飲食業界特有の課題にお困り事があれば、ぜひお気軽にガルフネットにご相談ください。

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