
介護サービス事業者にとって使いやすい勤怠管理システムとは?必要な5つの機能とそのメリットについて解説!
介護サービスを提供する事業者が勤怠管理システムを導入する場合、どんな機能が備わっているべきでしょうか。介護サービス業の課題解決に有益な機能と、勤怠管理システム導入によって現場にもたらされるメリットをご紹介します!
【INDEX】
介護業界に見られる勤怠管理上の課題
超高齢化社会が進展する日本では、介護サービスの利用者は今後ますます増加する見込みです。ところが、介護サービスの利用需要が増える一方で、それを提供する事業者側では人員が足りていない、人員配置がうまくいかない…など、勤務するスタッフにまつわる課題も多く聞かれます。現在の介護業界では、スタッフの勤怠管理を行う上でどんなことが問題視されているのでしょうか。
課題01:正確な勤務状況が把握しにくい
介護サービスの業界では、他の業界にはあまりない勤務形態、勤務体系が見られます。そのため、どのスタッフが、どこでどのくらい、何の業務を行ったか、正確に把握するのが困難だったり、把握に時間がかかったりしがちです。例えば、次のようなケースが挙げられます。

日付をまたぐ夜勤
24時間体制の入所施設などでは夜勤と呼ばれる勤務形態が取られます。2交替制や3交替制など、事業者や施設によってシフト体制は異なりますが、日付をまたぐ継続勤務という形態です。この夜勤の場合、労働基準法では、たとえ暦日が異なっても一勤務という考え方がなされ、通常の暦日とは勤怠管理ルールが異なります。休憩時間や休日の設定、割り増し賃金など、労働基準法で定められた事項があるため、それらを考慮した上でシフト作成や給与計算などの労務管理を行わなければなりません。
施設外への外勤となる訪問介護
入所施設や通所サービスの場合は利用者が事業者の施設に集いますが、訪問サービスの場合は担当スタッフが利用者の自宅へ出向きます。この場合、それぞれの利用者宅までの移動時間の把握や、その移動時間に対して支払う賃金の取り決めなどが必要です。また、始業時は訪問先へ直行、終業後は訪問先から直帰という勤務形態のスタッフの場合は直接目が届かないため、記録の改ざんやオーバーワークにも注意を払って管理しなければなりません。
不測の事態における突発的な勤務
利用者が高齢だったり、疾患を抱えていたりすると、突然の体調変化、容態悪化などにより、予定になかった緊急勤務や時間外勤務が発生することがあります。場合によっては勤務時間外にオンコールがあることも考えられるので、そういった突発的な勤務の実態や、それによって発生する手当をきちんと把握する対策が必要です。
他施設からの応援勤務
利用者の人数に対して、スタッフの人数が足りない…となった場合、同一事業者が展開する他の施設で働くスタッフに、応援勤務に来てもらって対応するケースもあるでしょう。このような場合、本人のタイムカードや出勤簿がその施設になければ、後から対処しなければなりません。ですが、忙しく働いていると始業・終業の時刻がいつだったか記憶が曖昧になったり、応援勤務を行ったことを報告し忘れたり、正確な労働時間の把握が難しくなりがちです。
課題02:法令違反の管理が難しい
正確な勤務時間の把握がしづらい業界・業種の特徴に加え、人員不足が恒常的になっている職場では、適切な労働時間や休暇の管理まで手が回らない…というケースがあるようです。そのため、労働基準法や人員配置基準などの法令をいかに遵守するかという点に課題を抱えている事業者は少なくありません。

オーバーワーク(残業)が発生しやすい
介護に限ったことではありませんが、「人」と関わる仕事では、相手の状況やペースに応じた対処が必要になる場面があり、業務が長引くケースがあります。また、人手不足が顕著な場合は、本来の稼働時間内に業務を終えることが難しく、残業としてこなしたり、休日出勤で補ったり、長時間労働が発生するケースもあります。こういった実態をリアルタイムで把握する手段を持たない場合には対策が遅れ、法令違反のリスクが高まるばかりか、スタッフの疲弊が募り離職につながるリスクもあります。
有給休暇などの把握・管理が難しい
2019年4月から、年10日以上の年次有給休暇を付与された従業員には、付与日から1年以内に5日以上取得させることが義務付けられています。また雇用する会社側は、有給休暇管理簿を作成して保管する義務があります。ところが介護サービス業は、就職・離職による人の入れ替わりが激しい業種のため、スタッフごとに有給休暇の付与タイミングにバラつきが生じがちです。加えて、付与日数は労働日数や勤務年数によって異なるため、管理は非常に複雑です。正社員、派遣社員、パート・アルバイトなど、様々な勤務形態のスタッフが混在する介護業界では、各自の休暇取得状況の把握・管理に頭を悩ませている事業者も多いはずです。
課題03:給与計算に多くの手間がかかる
介護業界には多様な勤務形態・勤務体系が見られるため、各自の勤務時間や残業時間、時給や手当を踏まえて給与計算をするには、相当の手間がかかります。規模の大きな事業者の場合、働くスタッフの人数も多いため、給与計算にかかる負担も大きくなりますし、人的エラーも起きやすいでしょう。手間に影響を及ぼす要因としては次のことが挙げられます。

資格の有無
介護職に関連のある国家資格に介護福祉士がありますが、その前段階として介護職員初任者研修、実務者研修などがあり、こういった保有資格があると携われる業務範囲が広がるため、給与額にも反映されるのが一般的です。さらに、ケアマネージャーや看護師、理学療法士、管理栄養士などのより専門的な資格には、多くの場合、手当が付きます。このように給与計算は、資格の有無やその種類を把握した上で行う必要があり、例えエクセルを用いたとしてもその作業負荷は大きく、ヒューマンエラーのリスクもゼロではありません。
職種の兼務
介護職員やケアマネージャーといった職種によって給与体系が異なることは先述した通りですが、異なる職種を兼務するスタッフがいる施設も少なくないと思います。例えば、午前中はケアマネージャーとして勤務し、午後は介護職員として勤務するというスタイルです。この場合には、1人のスタッフに対し2パターンの給与体系で勤怠管理をする必要が出てきますが、計算が複雑になるため手間が増え、ミスも起こりやすくなってしまいます。
課題04:シフト作成が複雑で時間がかかる
介護サービス業では、勤務の時間や曜日が変則的に変わるシフト制が導入されることが一般的です。こういった職場の場合、勤務する人員を検討し、配置をうまく組み上げるのはとても複雑で時間のかかる作業です。大規模な事業者ではスタッフ数も多く、職種や勤務スタイルも多岐にわたります。また、介護業界に特有の人員配置基準や加算条件というルールもあります。ここに本人の勤務希望を考慮していると、シフト作成には莫大な時間がかかります。

人員配置基準の厳守
介護業では、介護施設において適切な介護・医療を提供するために必要なスタッフの配置人数が介護保険法で定められています。その制度が人員配置基準です。この基準に違反すると、指定取り消し処分や指定効力停止処分が下されることもあります。そのため、内容の正しい理解と厳守が必要ですが、必要とされるスタッフの職種とその人数は、施設の種類や利用者人数によって異なるため、それらの条件を満たすシフトを作成するのには多大な労力と時間がかかります。
常勤換算や加算条件への配慮
人員配置基準があるだけでも高いハードルですが、必要なスタッフの人数を算出するには、常勤換算という考え方を踏まえて計算しなくてはなりません。勤務するスタッフの中にはパート・アルバイト契約で時短勤務という人もいるため、フルタイム勤務の人と同じように「1名」とカウントしてしまうと、人員配置基準に満たないケースがあるためです。またその他にも、特定事業所加算と言われる評価制度があり、国が定めた要件を満たした事業者は介護報酬における加算率が高くなります。この場合、収益の改善と経営の安定化が期待できるのは利点ですが、シフト作成において要件を満たす人員配置が煩雑になるのが難点です。このように、法令的な縛りがあることもシフト作成を難しくしている要因と言えます。
介護業界の勤怠管理システムに必要な機能
他の業界ではあまり見られない特殊な事情や法令が関係する介護業界の場合、勤怠管理システムの導入検討をしているのであれば、業界の特性に合ったもの、そして抱えている課題の解消に役立つものを選ぶべきです。ここでは、勤怠管理システムへの搭載が望ましい機能について解説します。
必要な機能01:幅広い打刻方法に対応したタイムレコーダー機能
介護サービス業の場合、勤怠管理システムのタイムレコーダーは、従来からあるパスワード認証も多くの人が簡易に使えて良いですが、指紋や静脈、顔など、個人しか持ち得ない情報を用いる生体認証も検討してみましょう。個人の特定が可能なため、介護サービス業でよく起きる事業者間での応援勤務に対応でき、どのスタッフがどの施設で働いたのかの把握が容易で、記録の改ざんも防げます。なお顔認証については、マスクを着用したまま認証できると感染症予防対策にも有効なのでおすすめです。また、利用者の自宅へ訪問してサービスを提供する事業者の場合は、スマホやタブレットを使って打刻できるものにすると、直行直帰で勤務したスタッフの始業・終業時間も正確に把握できて良いでしょう。派遣スタッフやパート・アルバイトなどを大勢抱える事業者では、すでに持っている人が多い交通系ICカード認証にすると導入がスムーズかも知れません。

必要な機能02:介護特有の条件に対応するシフト作成のサポート機能
介護施設で働くスタッフのシフト作成は、さまざまな条件を加味しなければならない難易度の高い作業なので、その作成サポート機能はとても重要です。介護サービス業に特有の条件がどれだけ反映できるかによって作業効率に大きな差が出ることになります。厳守が求められる人員配置基準はもちろんのこと、スタッフの契約内容や資格の有無、本人の希望を反映できるもの、常勤換算時間、有資格者の割合、勤続年数といった加算条件のチェックが可能なものが望ましいと言えるでしょう。シフト作成にかかる時間が大幅に短縮できるだけでなく、スムーズな施設運営とスタッフの満足度アップにもつながる部分なので、慎重な検討が必要です。

必要な機能03:勤怠データや給与の自動計算機能
多種多様な勤務体系、雇用形態がある介護施設では、日勤/夜勤、内勤/外勤、常勤/非常勤、専従/兼務などスタッフによって異なる要件が細かに管理できる勤怠管理システムが有益です。勤怠データの集計はもちろん、時給、残業時間、夜勤手当、資格手当なども加味した上で、システムが自動で給与計算を行うので、経理や総務スタッフの大幅な作業効率化が図れると同時に、人的ミスの発生も防げます。

必要な機能04:労務リスクを未然に防ぐアラート機能
介護サービスは、オーバーワークが発生しやすい職種ではありますが、何も対策をしなければ法令違反を招きかねません。さらに、スタッフの肉体的・精神的負担が大きくなれば、提供サービスの品質低下や離職につながる場合もあります。そのため、出退勤の打刻時に、労働時間の超過や休憩時間の不足、休暇の未取得など、労働基準法の違反リスクがあることを本人に警告できる機能があるものが望ましいと言えます。また、施設長や管理者、主任やリーダーといったスタッフのマネジメント業務を行う立場の人が、いかに早くそれらの発生リスクに気づけるかが重要なので、リアルタイムではもちろん、シフトの計画段階においても、法令違反が予測される場合にアラート通知が出る機能があると良いでしょう。この機能が備わっていることで、事業者にとってはコンプライアンス強化に、働くスタッフにとっては労働環境の改善につながります。

必要な機能05:申請・承認もスムーズにできる休暇管理機能
管理がややこしい、忙しくて手が回らない…など、スタッフの休暇取得に関わる課題をクリアしたい場合は、休暇管理機能があるととても便利です。具体的には、有給休暇、特別休暇、公休、振替休暇などを種類ごとに管理できたり、取得日数や残日数が一元で把握できたりする機能で、有給休暇の申請・承認機能があるシステムもあります。これらの機能を活用すると管理が格段に容易になり、義務化されている有給休暇管理簿の作成・保管にも対応できます。加えて、未取得のスタッフへの指導、サポート強化が図りやすくなり、休暇取得のための手続きがしやすい環境も整うので、スタッフへのメリットも生まれます。

勤怠管理システムが介護現場にもたらすメリット
では最後に、先述した機能を備えた勤怠管理システムを導入すると、介護サービスの事業者および現場スタッフにどんなメリットが得られるのかをまとめてみます。
メリット01:事業者&スタッフ双方の業務負担軽減
大きなメリットのひとつは業務負担の軽減が挙げられるでしょう。恩恵を受けるのは、システムを利用して管理を行う事業者側だけではなく、現場で働くスタッフも含まれます。
事業者&管理者のメリット
まず、勤怠データの集計、給与計算の負担が大幅に軽減されます。タイムカードや出勤簿をひとつひとつ確認し、記録漏れなどもチェックした上で集計をする。月毎に異なる残業時間や手当代を考慮して給与額を出す。そこに掛かっていた手間と時間はシステムによりすっかり解消されます。また、シフト作成における負担軽減にも大きく貢献します。複雑に絡み合う条件を満たした最適なシフトが短時間でできることは、作成作業を担う管理職スタッフの精神的な負担軽減にもなるでしょう。スタッフのマネジメントにかかる労力が大幅に削減されることで業務の効率化が図れ、その結果、他の業務の品質向上、残業の発生を減らす効果も期待できるでしょう。
スタッフのメリット
勤怠管理システムが導入されれば、スタッフ側もタイムカードの打刻や出勤簿の記録の煩わしさが軽減されます。特に、事業者間での応援勤務、緊急対応などの突発的な勤務、職種を兼務する勤務など、特殊なケースの場合は記録が面倒だったり、記憶が曖昧になったりしがちですが、システムであればその点が改善されます。また、勤怠管理システムを導入すると、勤務希望や休暇の申請がスムーズになる点も、スタッフにとっては負担軽減になるでしょう。
メリット02:事業者としてのコンプライアンス強化
タイムカードや出勤簿といったアナログな方法と違い、システム化された方法であれば、不正リスクが軽減でき、正確な勤怠データの把握・管理が行えます。出退勤の時間や場所、休憩時間や休暇日の取得などが正確に分かれば、それらの情報をもとに適切な指導やサポートができるので、労働基準法違反が確実に減らせます。また、介護業界に特有の人員配置基準、特定事業者加点などの制度についても、あらかじめシステムに組み込まれていれば、法令違反を犯すリスクが生じません。さらに、介護保険法や労働基準法の改正が行われた際は、その要件をシステム側で更新するので、対処の遅れやミスによる法令違反も防げます。このように、勤怠管理システムは事業者のコンプライアンス強化に大きく貢献します。
メリット03:スタッフにとっての働きやすさ向上
勤怠管理システムを導入すると、シフト作成までできる機能が備わっていることが大半です。この場合、あらかじめスタッフの勤務希望を収集し、その情報をシフトに反映させることも可能で、スタッフは自分の要望やニーズに近い働き方がしやすくなります。また、労働基準法に則り、労働と休憩の時間が適正に配分されたシフトが作成できるため、過剰労働や休憩不足といった負担の集中を回避でき、不満やストレスを貯めずに働くことができます。人力でやる場合、いくつもの条件を満たすシフトを作り上げることは至難の業ですが、勤怠管理システムならそれが容易にでき、結果的にスタッフの労働意欲の向上や労働環境の改善につながり、働きやすい職場が整います。
ガルフネットの勤怠管理ステムは介護業界にも対応!
ガルフネットが提供する勤怠管理システムは「ガルフCSM」といい、これまで約25年にわたり、飲食業界や小売業界、そして介護業界にも多数導入いただいてきました。ここでご紹介した介護業界の勤怠管理システムに必要な機能5つは、もちろん全て搭載しています。その他にも業務の効率化、スタッフのモチベーションアップに役立つ機能、連携アプリが豊富に揃い、時代の変化、業界のニーズ、法律の改正などに合わせて順次バージョンアップもしています。
新たに勤怠管理システムの導入、入れ替えを検討されている介護サービス業の事業者様で、より詳しい情報が欲しい、導入や運用に関する相談がしたいという方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。