
介護施設のシフト管理が上手くいかない…。見直すべきは「勤怠管理システム」かも!?
高齢化が加速する日本では、介護サービスの利用者が増えています。一方で、介護の現場では、スタッフのシフト管理に課題が見られます。ここでは、なぜそのような困り事が起きるのか、何を見直すべきかを解説します。
【INDEX】
- 介護サービス業のシフト管理が困難な理由
- 介護サービス業のシフト作成によく見られる方法
- シフト管理・作成に勤怠管理システムを利用すると何が変わるのか?
- ガルフネットの勤怠管理システムは介護サービス業界でも活躍!
介護サービス業のシフト管理が困難な理由
日本では超高齢化社会の進展により、介護サービスの利用者数は増加傾向が続いています。また、介護サービス業に参入する事業者も増えています。ですが、介護の現場では働くスタッフのシフト管理が上手くいかない…シフト作成に時間がかかって大変…という声が多く聞かれます。この問題の要因は、一体どういった点にあるのでしょうか。

勤務の形態・体系が多様
介護サービス業でシフト管理・作成がうまくいかない理由のひとつに挙げられるのは、勤務形態、勤務体系の多さです。これは他の業界ではあまり見られないことです。

夜勤、外勤、応援勤務などさまざま
例えば、24時間体制の入居施設では、絶え間なく業務を継続しなければならないので、2交代や3交代などの交代制の勤務体系が取られ、日付をまたいで継続勤務を行う夜勤もあります。また、訪問介護の場合は、利用者の自宅へ出向いてサービスを提供するため、外勤というスタイルになりますし、入居または通所施設であっても、状況によって同じグループ事業者の別の施設に出向く応援勤務というスタイルも見られます。
職種が多く、兼務スタイルも一般的
さらに介護サービス業の場合、ケアマネージャーや看護師、理学療法士、管理栄養士など、資格を必要とする専門職も多数あり、職種が非常に多い職場であると言えます。加えて、ケアマネージャーと生活相談員、介護事務と介護士といった具合に、複数の職種を兼務するケースも珍しくなく、正社員、派遣社員、パート・アルバイトといった雇用形態の違いも含めて考えると、実に多様な働き方のスタッフがいると言えるのです。そして、このことがシフトの管理・作成の複雑さ、困難さにつながっています。
人員配置基準の存在
介護サービス業では、介護施設において適切な介護・医療を提供するために必要なスタッフの配置人数が介護保険法で定められています。その制度が人員配置基準です。介護や医療の質を守る上で大変重要な制度である一方で、シフトを管理・作成する上では厄介な側面も持ち合わせています。

条件を満たしていないと処分の対象に
人員配置基準に違反が見られた施設には、指定取り消し処分や指定効力停止処分が下されることもあります。そのため、施設側は内容を正しく理解し、厳守に努めなければなりません。ただ、必要とされるスタッフの職種とその人数は、施設の種類や利用者人数によって異なってくるため、状況に応じて条件を満たすシフトを考えなければならず、常に煩雑さがつきまといます。
人数の算出には常勤換算が必要
また、必要なスタッフの人数を算出するには、常勤換算という考え方も踏まえて計算しなければなりません。なぜなら、勤務するスタッフの中にはパート・アルバイト契約で時短勤務という人も含まれ、その人をフルタイム勤務の人と同じように「1名」とカウントしてしまうと、人員配置基準に満たないケースが発生するからです。このように、人員配置基準とそれに関わる常勤換算は、シフトの管理・作成の難易度に大きく影響しています。
加算条件への配慮
介護サービス業界の事業者を評価する加算制度に、特定事業所加算というものがあります。これは、専門性の高い人材の確保やサービスの質の向上に取り組む事業所に対するインセンティブで、国が定めた要件を満たした事業者は介護報酬における加算率が高くなる仕組みになっています。事業者にとって要件を満たすことは、収益の改善と経営の安定化につながるので、大きなメリットであることは間違いありませんが、要件には人材やその配置に関わるものが含まれるため、シフトの管理・作成という側面で見ると、難しさが増すというデメリットも付随します。

介護スタッフの人員不足
介護サービス業界のシフト管理・作成を複雑かつ困難にしている要因には、人員配置基準、常勤換算、加算条件といった法令的な縛りも関係していますが、もっとシンプルに、介護サービスの利用者に対して従事者が足りていないということも挙げられます。離職率20%超という過去の数字よりは改善しているものの、依然として介護サービス業の離職率は高いままです。業界に対するマイナスイメージがあるためか成り手が少なく、シフト管理・作成の困難さだけでなく、人員不足に起因するオーバーワーク、休暇の取りにくさなど、労働環境の改善を課題としている事業者も少なくありません。

介護サービス業のシフト作成によく見られる方法
先述したように介護サービス業においては、業界特有の要因が関係し、シフト管理・作成は困難を極めます。とは言え、現場の業務を滞りなく回していくためには、その作業を避けて通る訳にはいきません。従来からよく見られるのは、エクセルの関数を使って作成する方法ですが、非常に手間がかかるため、近年ではシフトアプリや勤怠管理システムなどを活用して、自動で作成する方法を導入する事業者も増えています。ここでは、それぞれの方法の特徴やメリット・デメリットを解説します。
エクセルの関数を使う方法
表計算ソフトのエクセルを用いてシフトを作成する方法は、介護サービス以外の業界でも多く見られる方法です。

メリット01:導入がしやすい
Windowsのパソコンであれば、あらかじめ搭載されている場合も多いエクセル。そういった場合は、特に準備をする手間もなく、すぐにでも利用できます。
メリット02:費用面の負担が少ない
事業所にあるパソコンにエクセルが入っていれば、新しいパソコンやソフトを購入する必要がないので、費用面での負担を増やすことなく利用できます。
メリット03:無償のテンプレートも多い
インターネット上には、無償で利用できるシフト表のテンプレートが数多く存在します。エクセルでのシフト表作成に初めてトライする人にとっては強い味方です。
デメリット01:知識がないと難しい
シフト表はCOUNTA、COUNTIF、SUM、IFなどの関数を使うことが多く、中にはマクロを使って作成する場合もあります。そのため、知識がある人には問題ないものの、初心者が利用するにはハードルが高いかも知れません。
デメリット02:ルールへの柔軟な対応が難しい
関数やマクロを駆使しても、業界特有のルール、自社ルールまでは対応しきれないことが多く、使い勝手という意味で十分に満足できるシフト表を作成する、テンプレートを見つけるというのは難しいと言えるでしょう。
デメリット03:データの入力に時間がかかる
シフト表のベース部分はエクセルで作成できても、データの入力は手作業でやらざるを得ないため、完成までには多大な作業時間がかかります。それ故、スタッフ数があまり多くない施設ならやりくりできても、大人数が働く大規模な施設では大きな負担となります。
デメリット04:調整や変更にも時間がかかる
ようやく完成させたシフトも、病気などによる急な欠員や、月の途中で変更希望が発生した場合は、また時間をかけて調整しなければなりません。また、もし1箇所でも関数の設定をミスすると全体に影響が出るため、間違った箇所の特定と変更作業にも時間がかかります。
デメリット05: 法改正への対応が大変
労働基準法や介護保険法は、定期的に改正が行われます。当然、シフト作成時も改正内容を反映させる必要がありますが、その都度、シフト表にメンテナンスを加えるのは骨の折れる作業と言えます。
デメリット06:後任者に引き継ぎしにくい
さまざまな関数を自由に組み込めるエクセルは、それが利点である反面、非常に属人化しやすいのが難点です。そのため、もとの作成者以外の人が引き継ぐのは難しく、誰も手を出せない…といった状況に陥りがちです。
デメリット07:セキュリティ面が脆弱
エクセルを利用する場合、セキュリティ面への配慮は重要です。データの改ざん防止策や履歴の管理も必要ですし、データ流出にも注意を払わなければなりません。
エクセルの関数を使ったシフト作成には、このようなメリット/デメリットがありますが、長期の運用を考えると課題の多い方法と言えるでしょう。
シフトアプリを使う方法
近年、シフトアプリもたくさんの種類がありますが、大きくはスタッフ向けのものと、管理者向けのものに分けられます。無料版、有料版などがある他、AIを採用した高度なアプリも登場しています。

メリット01:スタッフの勤務希望申請が手軽
スタッフ向けのシフトアプリは、各自がスマホから勤務や休暇の希望を申請できる機能がメインです。自分のスマホで行えるので、いつでもどこでも、ちょっとした隙間時間で手軽に申請作業が完了します。
メリット02:管理者のシフト作成がラクになる
管理者向けのシフトアプリは、スタッフの希望をもとにシフトの作成をサポートする機能がメインです。スタッフ向けのアプリを連携させて利用するケースも多く、その場合、シフトの自動作成も可能になるため、シフト作成にかかる工数がかなり縮小できます。
メリット03:ヒューマンエラーが減少する
アプリ連携により、手作業による入力が不要となるので、その際に生じるヒューマンエラーの可能性も減少します。つまりは、入力時のエラーに伴う修正作業も減るということです。
メリット04:シフトの適正さが向上する
アプリにあらかじめ搭載されたプログラムで処理するので、必要な職種と人数、そこにかかる人件費なども含めて、適正なシフトが組めるだけでなく、労働基準法や介護保険法など、法令を遵守したシフトが組めるようになります。
デメリット01:選び方次第で使い勝手に差が出る
シフトアプリなら何でもいいという訳ではなく、介護サービス業に特化したものを選ばないと使い勝手が悪く、思うように効率化に結びつかない場合があります。また、シフト作成のみに特化して、給与計算や休暇管理などと連携できないアプリもあるので、本当にシフト作成のみで良いのかという判断も重要です。
デメリット02:完全自動のシフト作成は難しい
介護サービス業に特化したアプリでも、自社だけの就業規則のような独自ルールの適用は難しく、完全自動によるシフト作成は困難な場合が多いかも知れません。
勤怠管理システムを使う方法
勤怠管理システムを使ってシフト管理・作成をする方法は、シフトアプリの方法とほぼ同じと考えて問題ありませんが、メリットに関しては、勤怠管理システムだからこそという内容がいくつか含まれます。

方法とメリットはシフトアプリとほぼ同じ
勤怠管理システムを使う場合も、スタッフの勤務・休暇希望を収集して、その情報を元にシステムが自動で最適なシフトを作成するという流れになります。この場合、システムと連携するスタッフ向けアプリがあるのが一般的で、シフトアプリの方法、フローとほとんど変わりません。また、ヒューマンエラーの最小化、配置する職種と人数の適正化、法令の遵守といったメリットもシフトアプリと同様です。
拡張性の高さはシステムならではのメリット
ただし、システムに搭載されている機能はもれなく連携できる点が勤怠管理システムならではのメリットと言えます。勤務時間の自動計算、給与計算、給与明細、休暇管理など、使える機能が多彩にある分、アプリに比べると費用負担は大きい場合が多いですが、得られるメリットも多いと考えて良いでしょう。
自社向けにカスタマイズ開発が可能なケースも
なお、勤怠管理システムを選ぶ場合も、介護サービス業に特化したものを選ぶのが得策です。費用負担が大きい分、そちらに意識が向きがちですが、後々の使い勝手や運用の効率化に関わる部分なので、十分な検討が必要です。また勤怠管理システムの場合は、独自の自社ルールなどのカスタマイズ開発に対応できる場合もあるので、システムの販売・開発会社に相談してみると良いでしょう。
シフト管理・作成に勤怠管理システムを利用すると 何が変わるのか?
シフト管理・作成の負担軽減に加え、その他の課題解決も期待できる勤怠管理システム。人手不足が深刻な介護サービス業界においては、その導入が大きく業務効率化につながれば、費用面の負担を考慮しても検討する価値があるのではないでしょうか。そこで、実際に勤怠管理システムを利用すると、事業者とそこで働くスタッフにどんな変化やメリットが生まれるのか詳しくご紹介します。
人為的ミスの発生を低減し、シフト作成がラクに出来る!
これは勤怠管理システムに限ったことではありませんが、業務がシステム化されることで、人の手で行う作業は格段に減ります。その結果から得られるメリットは、作業効率だけではありません。

シフト作成の効率化と適正化を両立
人の手を介さないということは、人為的ミスが発生しないということ。エクセルでシフト表を作成する時のように、スタッフの勤務希望日を別の日のセルに誤入力してしまった…、関数を設定する範囲を間違ってしまった…というようなミスを起こすことがありません。また、人員配置基準、常勤換算、加算条件といった法令的な条件や、正社員とアルバイト、フルタイムとパートタイムといった雇用条件など、複雑に絡み合う条件も、システムなら瞬時に処理できる上、作業する人の経験や勘、感情や心理といった属人的な要素が一切入らないので、誰が作業しても同じように最適なシフトが出来あがります。
作業時間だけでなく、精神的な負担まで軽減
システム化によって作業量そのものが減り、処理にかかる時間も短縮されるので、シフト管理・作成は圧倒的にラクになります。それは、単に作業時間が減るだけでなく、早くシフトを完成させなければ…という焦りや、スタッフの勤務希望をどれだけ上手く反映できただろうか…という不安など、精神的な負担を軽減することにもつながります。
適切な人員配置を実現し、施設運営をスムーズにする!
スタッフの勤務・休暇希望をどれだけ丁寧に収集しても、50人、100人といった大人数になれば、人間の力だけで希望に応じたシフト作成をするのは至難の業。ですが、システムの力を借りれば、スタッフの希望実現に加えて、次のようなメリットも得られます。

要望に応えることで満足感や信頼感がアップ
人間よりも遥かに早い処理能力を持つシステムであれば、どれだけスタッフの人数が多くても、希望が可能な限り反映された、理想に近いシフト作成が実現します。希望を提出したのに叶わない…という状況が何度も続けば、不満やストレスになりかねませんが、自分の希望が叶えられる機会が増えれば、満足感や信頼感につながります。そうなれば、スタッフの働くモチベーションも上がるでしょう。
業務の円滑化、サービスの質の向上にも好影響
人員配置基準、常勤換算、加算条件など、考慮しなければならない要件を全て踏まえた上で、適切な人数、職種の配置が実現するため、特定のスタッフに負担が集中するということがありませんし、適材適所のスタッフ配置でスムーズな業務進行にも期待が持てます。そうなれば、利用者への質の高いサービス提供にもつながり、ひいては施設やスタッフの評価にもプラスの影響をもたらすでしょう。スタッフのシフト配置の適正さが、職場の活性化、施設運営の円滑化にも関係することは、覚えておきたいポイントです。
労働基準法などの労務リスクが未然に防げる!
勤怠管理システムは、勤務状況の記録と自動集計の機能を持つのが当然なので、長時間労働や、休憩時間の不足、休暇の未取得など、労働基準法に違反するか否かの判断はいとも容易いことです。そして、この機能は次のようなメリットももたらします。

法令に則った労働環境の整備
勤怠管理システムを利用してシフト作成をする場合、その計画段階において労働基準法や雇用契約違反の可能性があればアラート通知を出すことが可能です。これにより、法令違反を未然に防ぐことができるので、事業者にとってはコンプライアンスの強化に、スタッフにとっては労働環境の改善につながります。
法改正にもスピーディに対応可能
また勤怠管理システムは、法改正が行われた場合、システム側で改正内容を反映するケースがほとんどです。事業者が独自に作成したエクセルのシフト表の場合、法改正が行われるたびに、変更を加えたり、正しく変更できているか何重にもチェックしたりする必要がありますが、勤怠システムの場合は、システム会社が法改正のタイミングに合わせて対応するので、対応の遅れにより違反を招くリスクも回避できます。
働くスタッフの満足度アップが期待できる!
人手不足の中、忙しく働くスタッフにとって、業務に付随する細かなタスクは、できるだけ手早く簡単に済ませたいものです。勤務や休暇の希望申請もそのひとつと言えるでしょう。その点、勤怠管理システムを活用すれば、以下のようなメリットが期待できます。

ストレスフリーで申請タスクが完了
スタッフは自分のスマホから時間や場所を問わず、手軽に希望申請ができます。用紙や口頭での連絡が不要なので、提出期限に遅れた、伝えるタイミングがなかったなどのトラブルもなく、ストレスなくタスクを完了することができます。
働き方も働く環境もアップデート
さらに、決定したシフトの日程確認や実際の勤務状況も自分のスマホからチェックでき、労働時間や休暇に対してのセルフマネジメント意識にもつながります。また、システムによっては有給休暇や介護休暇など、各種休暇の申請ができるものもあり、その場合はよりスムーズに休暇取得ができる環境に近づくでしょう。
このように、勤怠管理システムの利用によってもたらされるメリットは、労働環境の改善、働くスタッフの満足度にまで及びます。そして、スタッフが満足できる環境が整えば、離職率の低減にも効果を期待できるでしょう。
ガルフネットの勤怠管理ステムは介護サービス業でも活躍!
ガルフネットでは「ガルフCSM」という勤怠管理システムを提供しています。このシステムは、これまで約25年にわたり飲食業界や小売業界、そして介護業界にも多数導入いただいています。
シフト管理・作成に関しては、AIエンジンが最適化ルールに基づき、自動でシフトを作成。もちろん、人員配置基準、常勤換算、加算条件、労働基準法などの条件も自動的に適用されるので、作成にかかる時間と手間が最小限に抑えられ、法令遵守にも貢献します。
なお、システム導入時には、業務プロセスと必要とするシステムがマッチしているかをしっかりと確認し、不足しているシステム機能は、業務に合うように機能を開発・変更。さまざまな要望にもきめ細かに対応し、各事業者様に合ったシステムへカスタマイズいたします。この柔軟さこそが、ガルフCSM勤怠管理システムの特長です。
新たに勤怠管理システムの導入、入れ替えを検討されている介護サービス業の事業者様で、より詳しい情報が欲しい、導入や運用に関する相談がしたいという方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。