飲食業界の離職率が高い理由と改善のための6つの対策

離職率が高い理由を認識し、下げる対策をしなければ、さらなる人手不足という悪循環に陥ります。 離職率を改善するために企業が行うべき6つの対策をご紹介します。

【INDEX】

離職率の高い状態が続くと、企業の存続にも影響   

離職率とは、一定期間でどのくらいの社員が退職したかを表す比率のことを言います。人材が定着せず次々と入れ替わる状況では、企業の存続そのものも不安定になるため、離職率を低下させることは、企業にとって重要な課題と言えます。

企業の存続に影響する離職率

離職率が高い状況下では人材の入れ替わりが激しいため、現場のチームワークがうまく機能せず、士気が下がりがちです。さらに、残された社員は足りない労働力を補うために自身の負担が増し、負担が増えたことで不満がつのります。その結果、さらに退職者が増えるという負の連鎖が起きる危険性があります。

離職を止める対策をしなければ、さらなる悪循環に 

離職率が高い飲食店では、業務量に対して人材の数が足りず、一人あたりの負荷が過重にかかっており、希望通りに休憩・休暇が取れないことが不満につながります。そして、その不満が改善・解消されないままだとさらに退職者を増やしかねません。

1.人が足りない → 2.社員に過重負荷 → 3.退職 → 4.人材不足 → 5.新規採用コスト高い →6.新入社員の採用 → 7.過重負荷 → 8.退職

離職率を下げる取組みの重要性

飲食業界は入職率も高い反面、離職率も非常に高く、従業員に負担がかかっている=キツい、ツラい業界と認識されても仕方ありません。これでは新しい人材の獲得も難しくなります。また、飲食業界は有効求人倍率が全体平均を大きく上回っているため、新たな従業員を獲得するための採用コストも大きくなりがちです。つまり、離職率を低下させる取組みをしなければ悪循環から抜けられなくなるのです。

飲食業界の離職率が高い理由とは?何が要因なのか?  

厚生労働省による令和3年雇用動向調査の「産業別入職・離職」の結果を見ると、宿泊業・飲食サービス業の離職率は25.6%と主要な産業の中で最も高くなっています。全体の平均値が13.9%なので、それと比べるとかなり高い数値です。

グラフ:産業別・離職率(令和3年)

では、なぜこれほどに離職率が高いのでしょうか。その理由については、次のことが挙げられます。

勤務時間や環境、休日などの労働条件が過酷 

飲食業界では、店舗の営業時間外にも料理の仕込みや開店準備、閉店後の片付けや事務処理など、やるべき業務がたくさんあります。加えて、深夜営業や24時間営業を行う店舗も多く見られます。そのため、来店客が絶えず多い、スタッフの人数が足りない、シフトが適正でない…といったことが起きると業務の量も時間が増えてしまい、十分な休憩・休暇が取れないケースが出てきます。さらに、飲食店にとっては土日や祝日、GWやお盆、年末年始は稼ぎ時になるため、その時は休暇が取りづらく、友達や家族の休暇とタイミングが合わせにくい状況が生まれます。

また、労働環境に目を向けると、生鮮食品を扱うので作業空間が常時寒い、揚げ物や焼き物を作るため灼熱の暑さの中に身を置く、ホールや調理場で立ちっぱなしの作業が続くなど、身体への過剰な負担から変調をきたすケースもあります。

飲食業界の離職率が高い理由1_過酷な労働条件

人間関係の悩み、コミュニケーションのトラブル 

飲食業界は人の入れ替わりが激しいうえ、アルバイトやパートといった雇用形態の従業員が多い傾向にあります。そのため同じ店舗で働いている従業員同士でも、話したことがない、顔を合わせたことがないというケースはよくあります。また、アルバイトやパート従業員の中には「お金を得るための労働」という意識の人も多く、業務の効率化や労働生産性といった面に頓着しない人も見受けられます。

その結果、次のシフトに入る人への仕事の引き継ぎが十分でなかったり、コミュニケーション不足で認識に齟齬があったりして、業務に支障をきたすこともあります。この状況が続くと、従業員間のストレスや不満が鬱積し、人間関係のトラブルにもつながっていきます。

飲食業界の離職率が高い理由2_人間関係のトラブル

報酬が十分でない、待遇が魅力的でない 

厚生労働省が行なった令和元年賃金構造基本統計調査の「主な産業別に見た初任給」の結果では、宿泊業・飲食サービス業の初任給額(大学卒・男女計)は20万800円で、その他の主要産業の中でもっとも低い金額です。

グラフ:産業別・初任給(大学卒・男女計)

また、ホールスタッフなど特に資格を必要としない職種の場合は、特別な技能やクリエイティブを伴わないため「誰でもできる仕事」というイメージがあり、賃金がなかなか上がりにくい傾向にあります。その他、人事評価の基準がきちんと定められていないケースでは、どうしたら賃金が上がるのか、役職の階級が上がるのか分からないまま働くことに不満を抱く場合もあります。

飲食業界の離職率が高い理由3_不十分な報酬・待遇

キャリア形成や、将来性への不安が大きい                     

飲食業界は他店との競争が激しく、開業して3年以内の閉店率は70%と言われています。またバブル崩壊後の平成大不況や新型コロナウイルス感染症の流行時がそうだったように、社会情勢の影響を受けやすい業界でもあり、赤字や解雇のリスクも高いと言えます。

そのため、将来のキャリアプランや結婚や子供の養育といったライフプランを考えた時、先々まで長く安心して働ける業界とは思われづらい傾向にあるようです。

飲食業界の離職率が高い理由4_将来への大きな不安

離職率を下げるためにどんな対策が必要か?

離職率をできるだけ下げ、現場の人材不足を打開するために、飲食店は何をすれば良いのでしょうか。積極的に取り組むべき対策について、いくつか例を挙げてみたいと思います。

ITツールの活用などで業務の効率化を図る

IT技術の躍進により、これまで人力でやっていた業務の手間が格段に軽減できたり、飛躍的に効率化できたりするケースが出てきています。例えば、予約対応にAI電話を導入する、メニューの注文をタブレットによるセルフオーダー形式にする、調理ロボットや配膳ロボットを活用する、店舗運営に関わる予算、売上、受発注、勤怠などの業務システムを一元化する…などにより業務の効率化が実現し、従業員の負担軽減を図ることができます。

離職率を下げる対策1_ITツールによる業務効率化

従業員のストレスチェックや個別の面談を取り入れる 

離職率が高い店舗の特徴とも言える「人間関係」や「コミュニケーション」に問題のある店舗は、従業員のストレスチェックや1on1での面談を取り入れても良いでしょう。ストレスの程度を検査する、定期的に面談をするなど、社員の心理状態やストレスの原因を把握する仕組みがあれば、職場環境の改善につなげることができます。

離職率を下げる対策2_従業員のストレスチェックや面談

社内のコミュニケーションを活性化させる  

コミュニケーションを改善することで離職率を改善できた飲食店の事例もあります。離職率が高い理由を社内のコミュニケーション不足と捉え、従業員同士はもちろん、チームリーダーや店長などの管理スタッフも含めて、360度全方位のコミュニケーションを取れるようにすることが重要です。

離職率を下げる対策3_社内のコミュニケーション活性

労働環境の改善や、福利厚生を充実させる  

「休暇が取れない」「勤務時間が長い」ことが原因で離職率が高い企業は、労働環境の改善に注力し、従業員のモチベーションを向上させる必要があります。報酬や待遇が業務量に見合っているか内容を見直したり、有給休暇の取得を促したり、福利厚生サービスを導入することも離職率改善の有効な手立てと言えます。

離職率を下げる対策4_福利厚生の充実化

評価制度の見直しやピアボーナス制を検討する 

評価制度が曖昧だったり確定していなかったりする場合は、制度やルールをきちんと設けて、どういったことが評価されるのか、その評価がどのように還元されるのかを明示したマニュアルを作ることも必要です。また、従業員間で互いに感謝や賞賛を伝え、報酬を贈り合うピアボーナス制の導入を検討しても良いでしょう。従業員間で承認し合うという特徴もあり、モチベーションやコミュニケーションの向上にもつながります。

離職率を下げる対策5_評価制度やピアボーナス制

教育制度の整備やマニュアル化を進める  

従業員の中には、調理のスキルを高めたい、店舗経営を学びたいなど、向上心の高い人もいるでしょう。将来的に貴重な戦力、有望な人材になり得る従業員を逃さないためにも、そういった意欲に応えられるような教育制度を整えることも有効です。また、誰もが理解できるマニュアルを準備し、活用することを検討しても良いでしょう。マニュアルがあれば、新人スタッフだけでなく既存スタッフの教育にも役立ちます。

離職率を下げる対策6_教育制度の整備やマニュアル化

ガルフネットの製品・サービスが離職率低下に貢献! 

離職率を下げるためには、企業が従業員の状態を把握し、より良い環境づくりをしていくことが不可欠です。業務効率化による負担の軽減、労働環境の改善、社内コミュニケーションの活性化など、できる対策を着実に進め、従業員が長く安心して働ける環境づくりに取り組む必要があります。

ガルフネットが提供する製品・サービスには、離職率の低下に貢献できるものが数多くあります。店舗運営に不可欠な業務を一元管理できるシステムをはじめ、AIを活用したシフトの自動作成ツール、従業員と店舗のコミュニケーションをスムーズにする従業員アプリ、成果をポイントで評価する企業通貨アプリなど、非常に多彩です。興味を持たれた方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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